「地方が抱える様々な課題を解決し、地域の活性化に『資する』ため、各地方自治体においては情報通信技術を活用した取り組みがなされている」......。
オトナの文章を読んでいると、まれに「資する」という言葉が出てきます。
なんだか難しい言葉ですが、いったいどのような意味や使い方があるのでしょうか?
「資する」の読み方と意味とは?
まずは、言葉の読み方と意味の確認からしましょう。
「資する」の読み方は、”し(する)”。
「資する」とは、”助けになる”や”役立つ”、”貢献する”といった意味を持つ言葉です。
ちなみに、「資」の漢字自体にも”助けになる”や”役立つ”という意味があります(例:「資料」など)。
- ”助けになる”
- ”役立つ”
- ”貢献する”
英語が得意な人は、英単語 help が持つ意味やイメージに近いと考えてもよいかもしれませんね。
この「資する」という言葉は、特に新聞の社説やお役所文書など、やや形式ばった文章で好んで用いられます。
「資する」の基本的な使い方
続いては、基本的な使い方(基本パターン)を見てみましょう。
基本的には、以下のような表現で用いられます。
- 国家間の関係改善に「資する」
- 地域の平和と安定に「資する」
- 地域の活性化に「資する」
- 我が国の安全保障に「資する」
「資する」を用いた具体的な文例
具体的な文例についても見てみましょう。
繰り返しますが、「資する」という言葉は、特に新聞の社説やお役所文書など、やや形式ばった文章で好んで用いられます。
- 冷静な議論のみが、果たして東アジア地域の安定に「資する」のか、リベラル系のメディアはきちんと説明をすべきである。
- 日本とアメリカの軍事的な連携は、東アジア地域の平和と安定に「資する」ものであり、評価されるべきである。
- 地方が抱える様々な課題を解決し、地域の活性化に「資する」ため、各地方自治体においては情報通信技術を活用した取り組みがなされている。
- 平成24年に成立した原子力規制委員会設置法では、同法の目的及び原子力規制委員会の任務に係り、「我が国の安全保障に『資する』」との文言が盛り込まれた。
- 問題のつり橋のどの鋼索のどのへんが第一に切れて、それから、どういう順序で他の部分が破壊したかという事故の物的経過を災害の現場について詳しく調べ、その結果を参考して次の設計の改善に「資する」のが何よりもいちばんたいせつなことではないか(寺田寅彦 『災難雑考』)。
いずれの場合も、”助けになる(助けとなる)”や”役立つ(役立てる)”、”貢献する”に言い換えることができますね。
平易な文章を記述する際、あるいは口語の場合には、これらの言葉に言い換えたほうがよいケースが多くあるので、使用する際には気をつけましょう。
「資する」の同義語・類義語
同義語・類義語にはどのような言葉があるでしょうか?
「資する」に似た言葉には、上記でも示した「助けになる(助けとなる)」や「役立つ(役立てる)」、「貢献する」といった言葉があります。
- 「助けになる(助けとなる)」
- 「役立つ(役立てる)」
- 「貢献する」
いずれにせよ、「資する」という言葉は社会人の常識として意味を知っておきたいところです。
以上、「資する」の意味と使い方についての説明でした。みなさんの参考になれば幸いです。
※本記事は2017年10月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。
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