「全体的な売上を上げるためにも、既存の顧客に対し『アップセル』や『クロスセル』を積極的に仕掛け、一人一人の客単価を向上させたいところだ」......。
このようにビジネス系の記事やビジネスシーンで見聞きすることが多い「アップセル」と「クロスセル」という言葉。
いったいどのような意味があるのでしょうか?
「アップセル」の意味とは?
まずは「アップセル(アップセリングとも)」の意味から。
「アップセル」とは、”顧客に対し、より高額な上位(= up )の商品をすすめて販売する(= sell )こと”です。
- ”顧客に対し、より高額な上位の商品をすすめて販売すること”
「クロスセル」の意味とは?
そして、もう一方の「クロスセル(クロスセリングとも)」。
「クロスセル」とは、”顧客に対し、関連商品をすすめて販売する(= sell )こと”を意味します。
- ”顧客に対し、関連商品をすすめて販売すること”
「アップセル」と「クロスセル」のメリット
企業にとっては、顧客に「アップセル」や「クロスセル」を行うことで”客単価の向上、ひいては売上高の向上が見込める”というメリットが生じます。
- ”企業にとって客単価の向上、ひいては売上高の向上が見込める”
多くの成功している企業では、「アップセル」と「クロスセル」を活用した販売手法を顧客に対して積極的に仕掛けています。
「アップセル」の具体的な事例
「アップセル」の具体的な事例には、どのようなものがあるでしょうか。
例えば自動車の販売。1980年代、トヨタ自動車が高級車クラウンの広告に用いていた有名なキャッチコピーに「いつかはクラウン」というフレーズがあります。このキャッチコピーは、当時のサラリーマンに対し昇進や昇給とともに上位モデルへの買い替えを促していく、トヨタ自動車の販売戦略を端的に表現したフレーズだとされます。
また、健康食品や化粧品の通信販売では、「今なら無料サンプルをお届けします」や「今ならお試し価格○○円で販売します」といった手法をよく見かけますが、この手法で獲得した顧客に対し、企業は”より高額な上位の商品をすすめて販売”、すなわち「アップセル」を仕掛けていきます。
さらにパソコン用ソフトやスマートフォンのアプリの中には、基本的な機能は無料、あるいは格安であるものの、高度な機能については有料、あるいは高額な使用料となるものも少なくありません。このような販売手法やビジネスモデルも「アップセル」の事例だと言えるでしょう。
「クロスセル」の具体的な事例
続いて「クロスセル」の具体的な事例を考えてみましょう。
身近な例だと Amazon などのインターネット通販。
インターネット通販では、お目当ての商品を購入しようとすると、「この商品を購入した人は次のような商品も購入しています」という言葉とともに関連商品が表示されます。スマートフォンを購入しようとしている人なら、スマホケースやイヤホン、防護フィルムなどが表示されるわけですが、このような仕組みが「クロスセル」を意識した販売手法です。
また、インターネット通販では「○○円以上の購入で配送料無料」といった表記もよく見かけます。このような販売手法も、顧客に対して「クロスセル」を行うための仕掛けだと言えるでしょう。
他にも、いわゆる「コンサル営業」と呼ばれる営業手法は、顧客に対し関連商品をすすめて販売する「クロスセル」(場合によっては「アップセル」)を前提としたものです。
「アップセル」と「クロスセル」の使い方(文例)
ビジネスシーンにおいて、「アップセル」と「クロスセル」という言葉はどのように用いられるのでしょうか。
具体的な文例で確認してみましょう。
- 全体的な売上を上げるためにも、既存の顧客に対し「アップセル」や「クロスセル」を積極的に仕掛け、一人一人の客単価を向上させたいところだ。
- 成功している多くの通販企業は、「アップセル」と「クロスセル」を巧みに組み合わせ、顧客の年間購入単価を引き上げている。
- 無料会員の申込みを受け付けるA社のコールセンターでは、有料会員になるメリットを伝えるトークスクリプトが構築され、潜在顧客に対して積極的な「アップセル」を仕掛けている。
- ファンデーションの購入を検討している女性に対し、ファンデーションにあった美容液も紹介することが「クロスセル」を意識した販売手法である。
このように用いられます。
いずれにせよ、「アップセル」と「クロスセル」という言葉はビジネスシーン、特にマーケティングの現場でよく用いられる言葉なので、社会人としては意味を知っておきたいところです。
せっかくですから、二つの言葉を一緒に覚えましょう。
以上、「アップセル」と「クロスセル」の意味と使い方についての説明でした。みなさんの参考になれば幸いです。
※本記事は2017年2月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。
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