「母は病気の影響からか、最近、他人に対する『猜疑心』が強くなってきている」「敵対心と『猜疑心』に凝り固まった独裁者は、部下を次々と粛清していった」......。
このように様々なシチュエーションで見聞きする「猜疑心」という言葉。
いったいどのような意味や使い方があるのでしょうか?
「猜疑心」の読み方と意味とは?
「猜疑心」の読み方は”さいぎしん”。
「猜疑」という言葉には、”他者をねたんだり疑うこと”という意味があります。
ちなみに「猜」の字に送りがなをふると、”他者をねたむ”という意味を持つ「猜(そね)む」になり、また「疑」の字に送りがなをふると「疑(うたが)う」になります。
というわけで「猜疑心」の意味は、”他者をねたんだり疑う気持ち”となるわけです。
- ”他者をねたんだり疑う気持ち”
特定の人物に対する「猜疑心」、例えば兄が優秀な弟に対して「猜疑心」を抱いたならば、”ねたむ気持ち”、”疑う気持ち”の両方があるでしょう。
しかし不特定多数に対する「猜疑心」、すなわち”誰も信用できない心理状態”の場合には、どちらかというと”ねたむ気持ち”の意味は薄れ、主に”疑う気持ち”に力点が置かれます。
「猜疑心」の基本的な使い方
続いて、基本的な使い方(基本パターン)を見てみましょう。
基本的には以下のような表現で用いられます。
- 「猜疑心を抱く」
- 「猜疑心が強くなる」
- 「猜疑心に凝り固まる」
- 「猜疑心が(の)強い性格」
「猜疑心」を用いた具体的な文例
具体的な文例で確認しましょう。
- 母は病気の影響からか、最近、他人に対する「猜疑心」が強くなってきている。
- 創業者である父の死後、長男と次男が対立。長男は有能で社内の人気も高い次男が会社を乗っ取るのではないかと、次第に「猜疑心」を抱くようになった。
- 明の初代皇帝となった朱元璋(しゅげんしょう)は「猜疑心」の強かった人物だが、妻である馬皇后(ばこうごう)だけには心を開き、深く愛したと伝えられている。
- 敵対心と「猜疑心」に凝り固まった独裁者は、部下を次々と粛清していった。
- ひとたび恐怖心や「猜疑心」を抱くと、何でもないことでも怖ろしいことや怪しいことに思えてしまうそうだ。
このように用いられます。
文中に特定の人物に関する記述がない場合には、不特定多数に対する「猜疑心」、すなわち”誰も信用できない心理状態”だと考えれば間違いありません。
「猜疑心」の同義語・類義語
最後に同義語・類義語を考えてみましょう。
「猜疑心」に似た言葉には「(他者を)疑う気持ち」や「疑心暗鬼になる」、「警戒心」、「敵対心」、「用心深くなる心理状態」、「誰も信用できない心理状態」などといった言葉があります。
- 「(他者を)疑う気持ち」
- 「疑心暗鬼になる」
- 「警戒心」
- 「敵対心」
- 「用心深くなる心理状態」
- 「誰も信用できない心理状態」
いずれにせよ、「猜疑心」という言葉は様々なシチュエーションで見聞きする言葉なので、社会人の教養として意味を知っておきたいところです。
以上、「猜疑心」の意味と使い方についての説明でした。みなさんの参考になれば幸いです。
※本記事は2017年2月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。
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