いずれも”若くして亡くなること”を意味する言葉
「全てがこれからというこの時期に突然のご『早世』、さぞ無念のことと存じます」「夏目漱石の上の兄と姉は、生後間もなく『夭逝』している」......。
このように、特に訃報関連の記事で見聞きする機会が多い「早世」「早逝」「夭折」「夭逝」という言葉。
いったいどのような意味を持つ言葉なのでしょうか?
「早世」「早逝」「夭折」「夭逝」の読み方とは?
まずは、それぞれの言葉の読み方を確認しましょう。
- 「早世」(読み方:”そうせい”)
- 「早逝」(読み方:”そうせい”)
- 「夭折」(読み方:”ようせつ”)
- 「夭逝」(読み方:”ようせい”)
このように読みます。
少し紛らわしいですが、「夭」を”よう”と読む、「逝」を”せい”と読むという点をおさえておきましょう。
「早世」「早逝」「夭折」「夭逝」の意味とは?
これらの言葉は、いずれも”若くして亡くなること”を意味する言葉。「死」や「亡」といった文字を用いない婉曲(えんきょく)表現になります。
- ”若くして亡くなること”
ちなみに「夭」の字には、”若い”という意味があります。
また、「逝」の字を用いた言葉には、”亡くなること”の敬語表現である「逝去」(読み方:”せいきょ”)や、”急に亡くなること”を意味する「急逝」(読み方:”きゅうせい”)などがあります。
「早世」と「早逝」は、「早世」のほうが正しいのではないかという意見もある
読み方が同じ「早世」と「早逝」ですが、「早世」を用いるのが正しいのではないかという意見もあります。
古くから「早世」という言葉が使用されていることもあり、近年使われることが多くなった「早逝」よりも「早世」を用いるほうが好ましいという主張です。
確かにほとんど全ての辞書には「早世」に関する項目が掲載されている一方で、「早逝」に関する項目を掲載している辞書はあまりありません。
ただし、「早逝」も一部の辞書では掲載されていることから、すでに「早逝」が市民権を得ている言葉であることは事実。
そのため、一概に「早逝」よりも「早世」を用いるのが正しいとは言えないものの、このような意見があるということは知っておきたいところです。
「早世」「早逝」「夭折」「夭逝」の基本的な使い方
これらの言葉は、基本的には「○○した」という表現でよく用いられます。
- 「早世した」
- 「早逝した」
- 「夭折した」
- 「夭逝した」
「早世」「早逝」「夭折」「夭逝」を用いた具体的な文例
続いて具体的な文例を見てみましょう。
- この小説は、小説家・A氏が「早世」した弟への思いを綴った作品として知られている。
- 全てがこれからというこの時期に突然のご「早世」、さぞ無念のことと存じます。
- 父が「早逝」したため、母は幼い私達兄弟を養うために、朝から晩まで働き詰めであった。
- 「早逝」の歌人として知られる石川啄木は、1912年(明治45年)に肺結核で亡くなった。
- この映画は、20XX年に30歳で「夭折」した小説家・B氏の未発表の原稿をもとに脚本が作られた。
- この作品は、26歳で「夭折」した詩人の生きざまを紹介した良質なドキュメンタリーだ。
- 「夭逝」した天才詩人・中原中也の詩を愛する現代人は多い。
- 夏目漱石の上の兄と姉は、生後間もなく「夭逝」している。
このように用いられますが、いずれの言葉も同じ意味を持つため、置き換えて用いることができます。
ただし、お悔やみのコメントや文章で、これらの言葉を用いたい場合には、「ご早世」などといった表現を用いるのが無難かもしれません。
「早世」「早逝」「夭折」「夭逝」の同義語・類義語
最後に同義語・類義語について考えてみましょう。
これらの言葉に似た表現には、「若くして亡くなる(死ぬ / この世を去る)」や「早死に」、「若死に」、それから「薄命」、「短折」、「夭死」などといった言葉があります。
- 「若くして亡くなる(死ぬ / この世を去る)」
- 「早死に」
- 「若死に」
- 「薄命」
- 「短折」
- 「夭死」
いずれにせよ「早世」「早逝」「夭折」「夭逝」は、訃報関連の記事でも見聞きする機会が多い言葉なので、社会人の教養として意味を知っておきたいところです。
以上、「早世」「早逝」「夭折」「夭逝」の意味と使い方についての説明でした。ビジネスパーソンのみなさんの参考になれば幸いです。
※本記事は2017年2月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。