上の意見が絶対なんです!
「『上意下達』と信賞必罰が、うちの会社の企業文化だと言ってもよいだろう」「最近の若い人の中には、『上意下達』の企業文化になじめない人も多い」......。
このようにビジネス系の記事やビジネスシーンでもよく用いられる「上意下達」という言葉。
いったいどのような意味や使い方があるのでしょうか?
「上意下達」の読み方とは?
まずは言葉の読み方の確認から。この言葉は読み方に注意が必要です。
「上意下達」の読み方は”じょういかたつ”。
”じょういげたつ”や、”じょういげだつ”などと読み間違えをしないようにしましょう。
「上意下達」の意味とは?
「上意下達」とは、行政機関や大企業などといったピラミッド型の組織における意思決定の仕組みや指示系統、情報の流れを表現する言葉であり、”上位の役職にある者の命令や指示、意見が絶対となる意志決定の仕組みや、上から下への指示系統、情報の流れ”といった意味を持ちます。
簡単に言えば、”トップダウン型の組織”や”上の意見が絶対な組織”ということ。
ポジティブな意味でもネガティブな意味でも用いられます(どちらの意味で使用されているかは文脈で判断します)。
- ”上位の役職にある者の命令や指示、意見が絶対となる意志決定の仕組みや、上から下への指示系統、情報の流れ”
- ”トップダウン型の組織”
- ”上の意見が絶対な組織”
※ポジティブ・ネガティブ両方の意味で用いられる
ちなみに「上意」とは、”主君の意志(あるいは指示や命令)”を意味する言葉。
また、「達」の字には”(特に上位から下位への)連絡”という意味があります(「通達」という言葉をイメージするとよいでしょう)。
余談ですが、江戸時代を舞台にした時代劇では、幕府や将軍のことを指して「お上(かみ)」、その指示や命令のことを「お達(たっ)し」と言いますね。
代表的な「上意下達」型の組織とは?
代表的な「上意下達」型の組織と言えば行政機関が挙げられるでしょう。例えば刑事ドラマ。上位役職者の命令に逆らえない現場の刑事の苦悩が描かれたシーンを、みなさんも見たことがあるはず。警察組織だけでなく、多くの行政機関は”上の意見が絶対な組織”であることがほとんどです。
企業であれば行政機関と同様にピラミッド型の組織形態を持つ大企業。それから同族経営の企業や創業者社長が先頭に立って指揮する企業が「上意下達」型の組織であることが多いようです。
「上【位】下達」は誤用表現なので注意!
「上【位】下達」は誤用表現となります。
「上【位】」にしたい気持ちはわかりますが、意志や意見、意向といった言葉をイメージして「上【意】」と表記しましょう。誤変換には注意してください。
- 「上【意】下達」…正しい表現
- 「上【位】下達」…誤用表現
基本的な使い方
言葉の基本的な使い方も見てみましょう。
基本的には以下のような表現で用いられます。
- 上意下達の(組織 / 企業 / 文化 / 企業文化 / 指示系統)
- 上意下達型の(組織 / 企業 / 文化 / 企業文化 / 指示系統)
ポジティブ・ネガティブ、両方の意味がありますが、ほとんどの場合は文脈から判断が可能です。
「上意下達」を用いた具体的な文例
具体的な文例で確認しましょう。
- 明治以降、わが国ではピラミッド型の「上意下達」の組織が中心となって、国家も社会も発展してきた 。
- 軍隊や警察は、典型的な「上意下達」型の組織である。
- 体育会系の組織も「上意下達」の文化を持つところが多い。
- 現在でも、特に国の機関や地方公共団体では「上意下達」型の指示系統であることほとんどだ。
- 「上意下達」と信賞必罰が、うちの会社の企業文化だと言ってもよいだろう。
- 最近の若い人の中には、「上意下達」の企業文化になじめない人も多い。
このように用いられます。
「上意下達」の同義語・類義語・反意語
「上意下達」の同義語・類義語、そして反意語についても考えてみましょう。
似た言葉には「トップダウン」や「ワンマン(経営)」などといった言葉があります。
- 「トップダウン」
- 「ワンマン(経営)」
また、反意語には「下意上達」や「ボトムアップ」、「現場主導」などといった言葉を挙げることができます。
- 「下意上達」
- 「ボトムアップ」
- 「現場主導」
まとめ
ここまでの内容をまとめます。
- 「上意下達」の読み方は”じょういかたつ”
- ”上位の役職にある者の命令や指示、意見が絶対となる意志決定の仕組みや、上から下への指示系統、情報の流れ”という意味がある
- 簡単に言えば、”トップダウン型の組織”や”上の意見が絶対な組織”ということ
- ポジティブ・ネガティブ両方の意味で用いられる
- 行政機関や大企業が代表的な「上意下達」型組織
- 「上【位】下達」は誤用表現
- 「下意上達」という表現もある
いずれにせよ、「上意下達」という言葉はビジネス系の記事やビジネスシーンでもよく用いられるので、社会人の常識として意味を知っておきたい言葉のひとつになります。
以上、「上意下達」の意味と使い方についての説明でした。参考になれば幸いです。
- 達
(Wiktionary) - 上意下達
(Wikipedia) - トップダウン手法
(Wikipedia) - 上意下達と下意上達…あなたが組織のトップならどちらを選びますか?
(Yahoo! 知恵袋)
※本記事は2017年1月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。