「本書は最初から最後まで筆者独自の視点で日本社会を分析しているが、特に日本社会の構造的な問題点を鋭く指摘した第二章が『白眉』である」......。
このように、主に評論関係の文章で見かける機会が多い「白眉」という表現。
いったいどのような意味や使い方がある言葉なのでしょうか?
「白眉」の読み方と意味とは?
まずは言葉の読み方と意味の確認からしましょう。
「白眉」の読み方は、”はくび”。
「白眉」とは、”全体の中でも、ずば抜けて優れた人物(あるいは作品など)”という意味を持つ言葉です。
- ”全体の中でも、ずば抜けて優れた人物(あるいは作品など)”
主に評論文で、全体的に素晴らしいのだけれど、その中でもとりわけ優れている人物(あるいは物や作品など)に言及する際に、この「白眉」という表現が用いられます。
「~は~の中でも白眉だ(である / と言える)」といった表現で使用されます。
- 「~は~の中でも白眉だ(である / と言える)」
大学入試の現代文の問題や各種試験の一般常識問題で、意味が問われることも少なくない表現です。
本来、”白いまゆげ”を意味する「白眉」
そもそも「白眉」とは、本来、”白いまゆげ”を意味する言葉。
いったいなぜ、”白いまゆげ”を意味する「白眉」が、”全体の中でも、ずば抜けて優れた人物(あるいは作品など)”という意味を持つようになったのでしょうか?
中国の故事に由来する「白眉」
「白眉」という表現は、中国の故事(『三国志 蜀書馬良伝』)に由来します。
蜀(しょく)の国に住むある五人の兄弟。いずれも才能がある人物ばかりだったのですが、その中でも特に【眉】毛(まゆげ)に【白】い毛が混じっていた四男が最も優れていたのだとか。
この話から「白眉」に”全体の中でも、ずば抜けて優れた人物(あるいは作品など)”の意味が含まれるようになったのです。
「白眉」を用いた具体的な文例
具体的な文例で確認しましょう。
- 本書は最初から最後まで筆者独自の視点で日本社会を分析しているが、特に日本社会の構造的な問題点を鋭く指摘した第二章が「白眉」である。
- 彼女は独特の映像美で知られる映画監督だが、今回の作品の中で「白眉」と言えるのが、初夏の京都の美しさが鮮明に描写されている点だ。
- 今回の絵画展は、数万点に及ぶコレクションを有するA美術館の中でも「白眉」と言える西洋絵画たちを紹介するものだ。
- 彼がデザインした車はいずれも美しいが、この車はその中で「白眉」とも言える優れたデザインだ。
- 彼の最新アルバムの中でも「白眉」だったのは、ギターソロが魅了する『I AM A ROCKSTAR』だ。
このように用いられます。
繰り返しますが、「白眉」の意味は”全体の中でも、ずば抜けて優れた人物(あるいは作品など)”のこと。
”全体が優れている”という前提がある点に注目してください。
「白眉」の同義語・類義語
最後に同義語・類義語について考えてみましょう。
「白眉」に似た表現には、「特に優れた人物(作品)」や「特に秀逸な点(人物 / 作品)」などといった言葉があります。
- 「特に優れた人物(作品)」
- 「特に秀逸な点(人物 / 作品)」
ちなみに、”優れていないものが多い中で、優秀な人物や作品があること”を表現したい際には、「掃き溜めに鶴」という表現があります。
いずれにせよ、「白眉」という言葉は、社会人の教養として意味を知っておいて損はない言葉のひとつです。
以上、「白眉」の意味と使い方についての説明でした。みなさんの参考になれば幸いです。
※本記事は2017年1月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。