「デート代すら身銭を切らず会社の経費で落とすとは、なんて『がめつい』人なんだ」「A子さんは小利口というか『がめつい』というか、そんな性格の人だ」......。
このように人の性格を表現する際に用いる「がめつい」という言葉。いったいどのような意味や使い方があるのでしょうか?
実はこの「がめつい」という言葉は、ある戯曲のヒットにより、一般的に使われるようになった言葉なのだとか。
「がめつい」の語源は「がめる」
「がめつい」は「がめる」という言葉が語源。
「がめる」という言葉には、”(特に金銭を)ごまかす”や”(物や金銭を)盗む”、”(物や金銭を)隠してためる”などといった意味があります。
意味からわかる通り、ネガティブなイメージを持つ言葉です。
- ”(特に金銭を)ごまかす”
- ”(物や金銭を)盗む”
- ”(物や金銭を)隠してためる”
そして「がめつい」という言葉は、この「がめる」を元に劇作家の菊田一夫(きくた かずお)氏が考え出した造語であるとされています。
戯曲『がめつい奴』のヒットで「がめつい」がよく使われるように
菊田一夫氏は、戦後の日本を代表する著名な劇作家。
社会の底辺で暮らす人々を描いた戯曲『がめつい奴』(1959年)はロングランヒットとなり、映画化、テレビドラマ化なども行われます。
この戯曲『がめつい奴』のヒットを契機に、「がめつい」という言葉が広く一般的に使われるようになっていきました。
そう、「がめつい」という言葉は意外と最近にできた言葉だったのです。
「がめつい」の意味とは?
菊田氏の戯曲タイトルとなった「がめつい」という言葉は、”(特に金銭に対し)強欲で抜け目がない”という意味で用いられています。
現在使われている「がめつい」という言葉の意味は、主にこの意味で用いられていると言ってもよいでしょう。
また、他にも”金に汚い”や”せこい”、”ケチである”、”吝嗇(家)である”などと同じ意味で使われています。
- ”(特に金銭に対し)強欲で抜け目がない”
- ”金に汚い”
- ”せこい”
- ”ケチである”
- ”吝嗇(家)である”
基本的な使い方としては、「(お金に)がめつい」、「(お金に)がめつい人」、「(お金に)がめつい性格」、「(お金に)がめつい商法」などのように使われることが多いようです。
「がめつい」を用いた具体的な文例
具体的な文例で「がめつい」の使い方を確認してみましょう。
- そんなにケチケチしていると、お金に「がめつい」という印象を他人に与えてしまうから注意したほうがいい。
- デート代すら身銭を切らず会社の経費で落とすとは、なんて「がめつい」人なんだ。
- A子さんは小利口というか「がめつい」というか、そんな性格の人だ。
- 京都の寺社には、閉門時間になると観光客を寺社の外に出し、夜間のライトアップを観賞するためには専用チケットを再購入しなければならないところも少なくないが、さすがにこれは「がめつい」商法なのではないか。
と、このように用いられます。
”(特に金銭に対し)強欲で抜け目がない”、”金に汚い”、”せこい”といった言葉に言い換えるとわかりやすいですね。
また、もし「がめつい」をポジティブな言葉に言い換えたいのなら、「倹約家」や「節約家」、あるいは「しっかり者」などといった言葉を使うとよいかもしれません。
いずれにせよ、ビジネスパーソンとしては『あいつは本当に『がめつい』奴だな」などと陰で揶揄(やゆ)されないようにしたいものですね。
以上、「がめつい」の意味と使い方についての説明でした。参考になれば幸いです。
※本記事は2016年11月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。
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