ビジネス系のニュースなどで見聞きする機会が多い「謝罪」「陳謝」「深謝」という言葉。
いずれの言葉も”謝ること”を意味するのですが、それぞれ意味が微妙に異なるのだとか。
そこで、ここでは、これらの言葉の意味の違いにはどのような点があるのかについて考えてみたいと思います。
「謝罪」の意味とは？
まずは「謝罪」という言葉の意味の確認からしましょう。
「謝罪」の読み方は”しゃざい”。
”お詫（わ）びをすること”という意味で広く一般的に用いられる言葉です。
- ”お詫（わ）びをすること”
「謝罪」は口頭あるいは文書で行われます。
「謝罪」を用いた具体的な文例
「謝罪」を用いた具体的な文例を見てみましょう。
- A新聞社は政治家の発言に関する記事について誤りを認め「謝罪」をした。
- 知事は先日の議会での不適切な発言内容に関して「謝罪」をし撤回した。
このように用いられます。
「陳謝」の意味とは？
続いては「陳謝」という言葉の意味。
読み方は”ちんしゃ”。
「陳謝」は”経緯や事情、対応策などを述べたうえでお詫びをすること”という意味になります。
- ”経緯や事情、対応策などを述べたうえでお詫びをすること”
余談ですが、「陳」という字には”述べる”という意味があります。「陳」の字を用いた代表的な熟語には「陳述」（＝”自分の意見を述べること”）がありますね。
「謝罪」が単に”お詫びをすること”という意味で広く一般的に用いられるのに対し、「陳謝」はより具体的に”経緯や事情、対応策などを述べる”という点が特に強調されます。
「陳謝」を用いた具体的な文例
「陳謝」を用いた具体的な文例を見てみましょう。
- 異物混入事件を起こしたA社の社長が会見を行い、外部の識者を含む異物混入防止対策を進める方針を示し「陳謝」した。
- 個人情報流出に関する記者会見で、社長は流出の経緯を述べ『顧客の皆様にお詫び申し上げたい』と「陳謝」した。
- 市長は定例記者会見で、アスベストが公共施設の周辺に飛散した可能性が『ゼロではない』との見方を示し「陳謝」した。
このように具体的に”経緯や事情、対応策などを述べたうえでお詫びをする”ケースにおいて「陳謝」という言葉は用いられます。
「深謝」の意味とは？
最後は「深謝」の意味。
「深謝」の読み方は”しんしゃ”。
意味は文字通り”深く謝罪（お詫び）すること”になります。
- ”深く謝罪（お詫び）すること”
「謝罪」という言葉よりも、お詫びの気持ちが強く表れていると考えればよいでしょう。
ちなみに、この「深謝」。”深く謝罪（お詫び）すること”以外にも、”深く感謝すること”という意味があります。
例えば次のような文例。
弊社所属俳優 ○○××は7月31日、39歳にて永眠いたしました。ここに生前に賜りましたファンの皆さまからの励ましのご声援、関係各位のご厚情に対し、「深謝」いたしますとともに、謹んでご通知申し上げます。
このようなケースでは、”深く感謝すること”という意味で用いられています。
「深謝」を用いた具体的な文例
「深謝」を用いた具体的な文例についても見てみましょう。
- 事故を起こしたC社の広報担当者は、『このような事故が起きたことを関係各位に深謝し、事故が再発しないよう努力を惜しまない』とコメントした。
- 不祥事が発覚したB社の社長は、会見で『再発防止に向けて全社員一丸で取り組む』と「深謝」した。
このように用いられます。
また、「深謝」はお詫びのために持参する菓子折りの表書きに使われるケースも少なくないため、ビジネスパーソンが知っておいて損はない言葉のひとつでもあります。
いずれにせよ、これらの言葉はビジネスシーンでもよく用いられる言葉なので、社会人の常識として、それぞれの意味を知っておきたいところです。
以上、「謝罪」「陳謝」「深謝」の意味の違いについての説明でした。参考になれば幸いです。
※本記事は2016年11月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。
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