「企業の広報活動は、直感や経験則といった『属人的』な要素によって行われがちだ」「我が社では、その人にしかわからない業務が多い点、すなわち『属人性』が高い点が課題となっている」「『属人化』している部分を改善することで、業務効率が向上するだろう」......。
このようにビジネスの世界でよく用いられる「属人」(「属人的」「属人性」「属人化」)という言葉。
いったいどのような意味があるのでしょうか?
「属人」の読み方と意味とは?
「属人」の読み方は"ぞくじん"。
ビジネスの世界で用いられる「属人」の意味には、大きく分けて二つの意味があります。
まず、よく使われるのが"業務が特定の人物のスキルに依存してしまう(また、その人物にしかやり方が分からなくなってしまう)こと"という意味。「あの人が対応しないとダメだ!」という状況です。
さらに、"業務が仕組み化されていないため、担当者の経験や勘に頼ること"という意味で用いられるケースもあります。
① "業務が特定の人物のスキルに依存してしまう(また、その人物にしかやり方が分からなくなってしまう)こと "
⇒「あの人が対応しないとダメだ!」
② "業務が仕組み化されていないため、担当者の経験や勘に頼ること"
いずれの意味においても、業務が特定の人物や担当者など【人】に依存してしまっているという点で、ネガティブ(=非効率)なイメージを伴って使われる言葉です。
多くの場合、「属人的」「属人性」「属人化」といった表現で用いられます。
「属人化」の対義語は「マニュアル化」や「標準化」
ちなみに「属人化」の対義語は「マニュアル化」や「標準化」。他にも「見える化」や「(暗黙知の)形式知化」といった言葉が挙げられるでしょう。
ネガティブ(=非効率)なイメージを持つ「属人化」と異なり、これらの言葉は一般的にポジティブ(=効率的)なイメージを伴って用いられます。
- 「属人化」…ネガティブ(=非効率)なイメージ
- 「マニュアル化」「標準化」…ポジティブ(=効率的)なイメージ
「属人」の例
「属人」の例を考えてみましょう。例えば企業における営業業務。
企業の中には、顧客との関係構築や営業手法などが「マニュアル化」「標準化」されておらず、完全に営業担当者の個人的な営業スキルに依存していることがあります。
そのような際に、仮に顧客との関係構築が上手にできている営業スキルの高いベテランの営業担当者から営業スキルの低い新人の営業担当者に交代すると、また一から顧客との関係構築をしなおさなければならなかったり、新人の営業担当者の未熟さが原因で契約解除やクレームが発生するケースもあるでしょう。
このような営業業務が行われている場合には、「『属人的』な営業業務」や「『属人性』の高い営業業務」、「営業業務が『属人化』している」などと表現されます。
「属人的」「属人性」「属人化」の基本的な使い方(文例)
「属人」を用いた具体的な文例についても見てみましょう。
まずは「属人的」から。
- 我が社のサービスは「属人的」ではあるが、仕組み化していくことも大切だ。(⇒①)
- 企業の広報活動は、直感や経験則といった「属人的」な要素によって行われがちだ。(⇒②)
- 経験や勘に頼る「属人的」な手法から、データ類に重点を置く手法へと変更した。(⇒②)
続いて「属人性」。
- 我が社では、その人にしかわからない業務が多い点、すなわち「属人性」が高い点が課題となっている。(⇒①)
- 営業活動は「属人性」が高い業務だが、それゆえ標準化しなければならない。(⇒①・②)
- 業務活動から「属人性」を排除し、効率を改善する必要性がある。(⇒①・②)
最後は「属人化」。
- 「属人化」によるリスクを防がなければならない。(⇒①・②)
- 業務の「属人化」を避けるため、早期にサポート業務のマニュアル化を進めた。(⇒①・②)
- 「属人化」している部分を改善することで、業務効率が向上するだろう。(⇒①・②)
このように用いられます。
いずれにせよ、「属人」(「属人的」「属人性」「属人化」)という言葉はビジネスの世界でよく用いられる言葉なので、意味を知っておきたいところです。
以上、「属人」(「属人的」「属人性」「属人化」)の意味と使い方についての説明でした。参考になれば幸いです。
- 仕事は「属人化」したほうが、好都合なんじゃない?
(BLOGOS) - ときには、属人化だって悪くない
(日経BP) - (印刷)営業は属人性が高いということについて
(togetter)
※本記事は2016年9月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。
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