「『先般』の議論の内容を踏まえ、組織・業務体制の見直しの検討を開始したいと考えています」「『先般』の経営統合により、A社にはバス事業ならびにタクシー事業が新たな事業分野として加わった」......。
このように官僚の答弁や政治家の会見、さらにはビジネスシーンでも見聞きする機会が多い「先般」という言葉。
いったいどのような意味や使い方があるのでしょうか?
「先般」の読み方と意味とは?
まずは「先般」という言葉の読み方と意味の確認からしましょう。
「先般」の読み方は"せんぱん"。
"先頃"や"先日"、"この間"などといった意味があります。
- "先頃 "
- "先日"
- "この間"
「先般」という言葉は通常の会話ではあまり用いられない言葉ですが、国会における官僚の答弁や政治家の会見などで好んで使われる『お役所言葉』のひとつです。
対義語には「今般」という言葉がある
ちなみに「先般」の対義語には、「今般(読み方:"こんぱん")」という言葉があります。
「今般」とは、"今回"や"このたび"といった意味です。
「先般」の基本的な使い方
続いて基本的な使い方(基本パターン)を見てみましょう。
基本的には副詞的に「先般」、あるいは「先般の」などといった表現で用いられます。
- 「先般」
- 「先般の」
「先般」の具体的な文例
具体的な文例についても見てみましょう。
先に国会における官僚の答弁や政治家の会見などで使われているケースから。
- 「先般」、A国に対しては遺憾の意を示し抗議をいたしました。
- 「先般」の議論では、○○委員より御指摘をいただきました。
- 「先般」の会合では、追加の対応策を決定しました。
- 「先般」の参議院選挙では、国民の皆様から力強い信任をいただくことができました。
次はビジネスシーンで使用されているケース。
- 「先般」の議論の内容を踏まえ、組織・業務体制の見直しの検討を開始したいと考えています。
- 「先般」の経営統合により、A社にはバス事業ならびにタクシー事業が新たな事業分野として加わった。
- 「先般」は当社の選考にご足労いただき、ありがとうございました。
このように「先般」という言葉は用いられます。
いずれの文例においても「先頃」や「先日」、「この間」といった言葉に言い換えることが可能です。
「先般」の同義語・類義語
同義語・類義語にはどのような言葉があるでしょうか?
「先般」に似た言葉には、上でも挙げた「先頃」や「先日」、「この間」などといった言葉があります。
- 「先頃」
- 「先日」
- 「この間」
一般的な文章やインフォーマルな席でのスピーチでは、これらの言葉を用いたほうがよいかもしれません。
いずれにせよ、「先般」という言葉は社会人の常識として意味を知っておきたいところです。
以上、「先般」の意味と使い方についての説明でした。参考になれば幸いです。
※本記事は2016年8月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。