「『コア・コンピタンス』がなければ、競争の激しい業界では生き残ることはできない」「レッドオーシャンから抜け出すためにも、『コア・コンピタンス』の創出が不可欠だ」......。
このようにビジネス系の記事やビジネスシーンで見聞きする機会も多い「コア・コンピタンス」という言葉。
いったいどのような意味があるのでしょうか?
ゲイリー・ハメル氏が提唱した「コア・コンピタンス」という概念
私たちがビジネスシーンでよく目にする「コア・コンピタンス」という言葉は、企業の経営戦略やイノベーションの研究家として知られるゲイリー・ハメル氏が、1990年に『ハーバード・ビジネス・レビュー』に寄稿した記事(C. K. プラハラード氏との共著)の中で提唱した経営学上の概念です。
日本においても、1990年代後半に彼が著した『コア・コンピタンス経営』(日本経済新聞出版社)がベストセラーとなり、「コア・コンピタンス」という言葉が一般的に認知されるようになりました。
「コア・コンピタンス」の意味とは?
「コア・コンピタンス( Core competence )」を直訳すると、"組織の中核的能力"。
経営学的には、企業経営における"競合他社に対して優位性を持つ自社の能力"のことを意味します。
"競合他社に対する自社の強み"と考えるとわかりやすいでしょう。
- "組織の中核的能力"
- "競合他社に対して優位性を持つ自社の能力"
- "競合他社に対する自社の強み"
"優位性を持つ自社の能力"、あるいは"自社の強み"の内容は、主に技術やスキル、ノウハウ(さらには特許やビジネスモデルまで)を含みます。
また、「コア・コンピタンス」は「レッドオーシャン」「ブルーオーシャン」や「選択と集中」などといった言葉と併せて用いられることが多い言葉です。
「コア・コンピタンス」の3つの条件
ハメル氏によると、「コア・コンピタンス」は以下の3つの条件を満たすとしました。
① 顧客に何らかの利益をもたらす
② 競合相手に真似されにくい
③ 複数の商品・市場に推進(応用)できる
つまり、技術やスキル、ノウハウが、競合他社が簡単に真似をできるものであったり、汎用性の低いものである場合には、厳密には「コア・コンピタンス」であるとは言えないと定義しています。
しかし現在では、これらの条件を満たさなくとも、"競合他社に対する自社の強み"全般に対して「コア・コンピタンス」という言葉を使用することが少なくありません。
ちなみにハメル氏は、「コア・コンピタンス」の具体的な事例として、競合相手に真似されにくく汎用性の高いホンダのエンジン技術(コア技術を芝刈り機や除雪機からオートバイ・自動車まで幅広く展開)を挙げています。
「コア・コンピタンス」の使い方(文例)
実際に「コア・コンピタンス」という言葉は、どのように用いられるのでしょうか。
具体的な文例を見てみましょう。
- 低価格路線でも高利益率を維持するノウハウは、まさしくA社の「コア・コンピタンス」だ。
- 「コア・コンピタンス」がなければ、競争の激しい業界では生き残ることはできない。
- レッドオーシャンから抜け出すためにも、「コア・コンピタンス」の創出が不可欠だ。
- 競合他社が真似のできない独自のノウハウや技術、すなわち「コア・コンピタンス」に経営資源を集中し、市場における競争優位を確立しなければならない。
このように用いられます。
「コア・コンピタンス」の同義語・類義語
「コア・コンピタンス」に似た言葉には、「強み」や「優位性」といった言葉があります。
- 強み
- 優位性
いずれにせよ、「コア・コンピタンス」という言葉はビジネスシーンでもよく用いられる言葉なので、社会人の常識として意味を知っておきたいところです。
あなたの会社の「コア・コンピタンス」は、どんな部分にあるでしょうか?
以上、「コア・コンピタンス」の意味と使い方についての説明でした。参考になれば幸いです。
- コアコンピタンス
(Wikipedia) - Gary Hamel
(Wikipedia) - 東芝が発表した構造改革は「コアコンピタンス経営」と言えるのか?
(ダイヤモンドオンライン)
※本記事は2016年8月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。
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