転職先の会社が提出を求めてくる！「退職証明書」とはナニモノ？

「では、以前に勤めていた会社の『退職証明書』をもらってきてください」......。

転職活動を進めていく中で、めでたく内定が出て入社が確定した直後に、転職先の会社が「退職証明書」の提出を求めてくることがあります。

ここでは、転職先の会社が「退職証明書」の提出を求める理由について考えてみたいと思います。

「退職証明書」とは？

「退職証明書」とは、文字通り"以前勤めていた会社の退職を証明する書類"のこと。

大手企業のみならず中小企業でも、中途採用の内定者に対して「退職証明書」の提出を求めてくることは少なくありません。

「離職証明書」「離職票」と「退職証明書」の違い

ちなみに「退職証明書」似たものには、「離職証明書」（「雇用保険被保険者離職証明書」）と「離職票」があります。

この二つは雇用保険（失業給付金の受給）に関する書類であり、公共職業安定所（ハローワーク）に対して提出するものです。

「離職証明書」や「離職票」には、"退職事由"や"過去6か月分の賃金"など、失業給付金の受給額・受給期間の決定に必要な事項が記載されています。

一方、「退職証明書」は転職先の会社に対して提出するもので、"退職事由"や"賃金"以外にも、"業務の種類"や"その事業における地位"といった仕事の（場合によっては子細な）内容が記載されるのが特徴です。

「退職証明書」に記述される項目

実際に「退職証明書」に記述される具体的な項目を見てみましょう。

「退職証明書」には以下の項目が記述されます。

"使用期間"とは、入社から退職までの期間のこと。

"業務の種類"、"その事業における地位"とは、どのような職種でどのような役職に就いていたかということ。

"賃金"は給与額のことで、"退職事由"とは、どのような理由で退職をしたのかについての記述になります。

転職先の会社が「退職証明書」の提出を求める理由とは？

中途採用の内定者に対して、転職先の会社が「退職証明書」の提出を求める主な理由は、一般的には職務経歴書の内容や面接の内容を裏付けるためだとされています。

実際に前の会社への勤務実態はあるのか、"業務の種類"や"その事業における地位"、"退職事由"が職務経歴書や面接の内容と整合性がとれているのか、などといった点を人事担当者がチェックするのです。

また中途採用の場合には、給与額を「前職の給与を考慮して決定」するケースも少なくないため、"賃金"の項目も重要になってきます。

「退職証明書」を提出できない人もいる

しかし、中には「退職証明書」を提出できない人がいるのも事実。

ありえない話ですが、職務経歴書に虚偽の内容を書いてしまい、「退職証明書」の内容と整合性が取れないため困るという人も少なからず存在するのです。

さらには前職で解雇されていたり、喧嘩別れや引継ぎをしないバックレ退職をしたため、前の会社と連絡を取りたくないという人もいます。

このような、職務経歴書や面接だけではわからない「問題社員」候補の人物をふるいにかけるためにも、中途採用の内定者に対して「退職証明書」の提出を求めるのです。

「退職証明書」の提出は任意でよいという会社もありますが、きちんと提出しておいた方が無難です。

「退職証明書」の交付は会社の義務

余談ですが、「退職証明書」の交付は、労働基準法で定められた会社の義務（第22条1項・第120条1項）であるため、「退職証明書をもらえませんでした (・ω<) ﾃﾍﾍﾟﾛ」という言い訳は通用しません。

ただし、「退職証明書」の請求権の時効は2年とされています（第115条）。

「退職証明書」は転職をスムースに行うためのツール

いずれにせよ、「退職証明書」とは、転職をスムースに行うためのツールぐらいに考えておくとよいかもしれません。

それから、職務経歴書に嘘の内容を書いても、すぐにバレてしまうので注意してくださいね。

以上、「退職証明書」についての説明でした。参考になれば幸いです。

※本記事は2016年8月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。

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