2016年7月、日本では「アベノミクス」ならぬ「ポケモノミクス」という言葉がニュース記事や経済記事に数多く登場しました。

この「ポケモノミクス」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?

『ポケモンGO』効果で任天堂の株価が2倍に!?「ポケモノミクス」の意味とは?

「ポケモノミクス」の意味とは?

「ポケモノミクス」とは、「ポケットモンスター(ポケモン)」と「エコノミクス(="経済")」からなる造語。

"2016年、スマホアプリ『ポケモンGO』が発表されて以降の株式市場の活況、ならびに一連の経済的な影響"のことを意味します。

「ポケモノミクス」の意味とは?
  • "2016年、スマホアプリ『ポケモンGO』が発表されて以降の株式市場の活況、ならびに一連の経済的な影響"



『ポケモンGO』とは?

『ポケモンGO(Pokémon GO)』とは、任天堂の関連会社である株式会社ポケモンとアメリカのナイアンティック社が共同開発したスマートフォン向けゲームアプリのこと。

AR(拡張現実)を利用した位置情報ゲームで、基本的にはプレイヤーが屋外を歩き、ランドマークや建物に潜むポケモンを探して捕まえるというゲーム性があります。

2016年7月6日にアメリカ国内で先行サービスを開始以降、各国のアプリストアでランキング1位を獲得。またたく間に世界中で爆発的な人気となりました。

任天堂はわずか2週間で2倍の株価に

『ポケモンGO』の海外での爆発的な人気ならびに社会現象化、公開わずか4日で課金売上が14億円を突破したという調査結果がインターネット上で報じられるにつれ、任天堂株は年初来安値だった1万3360円(6月28日)から一時3万2700円(7月19日)まで急伸。

短期間に任天堂の時価総額が約2兆円はね上がるという事態になります。

『ポケモンGO』関連の出来事(2016年7月)
  • 7月6日
    ・アメリカで『ポケモンGO』配信開始、以降、世界中で爆発的な人気に
  • 7月8日
    ・任天堂株の急騰はじまる
  • 7月中旬
    ・各国での『ポケモンGO』フィーバーぶりが伝わる
  • 7月19日
    ・任天堂株が一時3万2700円に
  • 7月21日
    ・菅官房長官が『ポケモンGO』についてコメント
  • 7月22日
    ・『ポケモンGO』の日本国内配信開始
    ・初日に1000万人以上がダウンロード

また、任天堂のみならず関連銘柄(とされる)の株価も上昇。市場では「『ポケモノミクス』相場」という言葉まで生まれました。

『ポケモンGO』の一連の経済的な影響

『ポケモンGO』は株式市場以外にも影響を与えました。

『ポケモンGO』はスマートフォンのGPS(全地球測位システム)機能を常に使うため、電池の消費が通常より早くなります。

そのため、一部のコンビニエンスストアではスマートフォン用の充電器が品切れになることも。

また、屋外に出て遊ぶゲームの特性からか、コンビニエンスストアでは移動しながら手軽に食べることのできるおにぎりやパン・菓子類や日焼け止め・虫よけのスプレーの売上が伸びたとの報道もありました。

『ポケモンGO』の株式市場以外への影響
  • スマートフォン用の充電器が品切れに
  • おにぎりやパン、菓子類の売上が伸びる
  • 日焼け止めや虫よけのスプレーの売上が伸びる

「ポケモノミクス」とは、これら"株式市場の活況、ならびに一連の経済的な影響"を指します。

敷地内にポケモンが出現しないよう削除依頼を出す団体も

日本でも社会現象となった『ポケモンGO』は、社会的に負の影響も与えました。

例えば、スマートフォン画面を見ながら歩き回る人が増えたため、駅では「歩きスマホ」の危険性を訴える放送が頻繁に流れたり、スマートフォンを操作しながら車の運転をして道路交通法違反で検挙される人、実際に事故を起こしてしまう人、深夜に未成年を連れて出歩き書類送検される人、珍しいポケモンが捕獲できる建物や公園にユーザーが大挙して押し寄せるなど、日本各地でちょっとした混乱を引き起こしたのです。

そのため、鉄道事業者など多くの団体が、ナイアンティック社に対し敷地内のポケモンの出現場所、道具の入手場所、対戦場所を削除をするよう依頼を出しました。

ナイアンティック社に削除依頼を出した団体の一例
  • 鉄道事業者23社および日本地下鉄協会(駅構内)
  • 高速道路会社6社(高速道路上)
  • 東京電力(原発敷地内)
  • 最高裁判所(全国の裁判所)
  • 広島市(平和記念公園)
  • 長崎市(平和公園)

集客インフラとしても注目される『ポケモンGO』

その一方で、『ポケモンGO』は集客インフラとしても注目されています。

開発元のナイアンティック社には、観光客誘致に活用しようとする自治体や企業からポケモンの出現場所、道具の入手場所、対戦場所となることをを求める要請が相次いだのだとか。

この事例もまた「ポケモノミクス」の一例であると言えるでしょう。

日本のコンテンツ産業があらためて注目される

いずれにせよ、世界中での『ポケモンGO』の熱狂ぶりは、日本のコンテンツ産業の強さを再確認する契機となったのは事実。

2016年7月21日の官房長官記者会見では、菅官房長官が「我が国のコンテンツが海外を含めて広く親しまれることは極めて喜ばしい」「(政府として)コンテンツの海外展開を支援していきたい」と語るなど異例のコメントを出しました。

今後、官民一体となって日本のコンテンツ産業の育成・海外展開を支援していく取り組みが期待されます。


以上、「ポケモノミクス」についての説明でした。参考になれば幸いです。

「ポケモノミクス」について深く知る参考リンク

※本記事は2016年7月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。


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