「尚」の字には”まだ”という字義がある
「現段階において、次期社長候補について語るのは『時期尚早』なことである」「今回の経営統合によるシナジー効果を評価するには『時期尚早』であり、あと数年は様子を見てほしい」......。
ビジネス記事などでも見聞きすることが多い「時期尚早」という四字熟語。
この四字熟語には、いったいどのような意味や使い方があるのでしょうか?
「時期尚早」の読み方と意味とは?
まずは「時期尚早」という四字熟語の読み方と意味の確認から。
「時期尚早」の読み方は、”じきしょうそう”。
”(あることを行うには)まだ早いこと”という意味を持つ四字熟語です。
- ”(あることを行うには)まだ早いこと”
例えば、何らかの計画を実施しようとする場合に、まだ準備が整っていなければ「その計画を実施するには『時期尚早』だ」のように表現されます。
また「時期尚早」は、単に「尚早」(読み方:”しょうそう”)と表現しても同じ意味となります。
「時期早尚」は誤用表現なので注意!
時々、「時期【尚早】(”じきしょうそう”)」と表現すべきところで「時期【早尚】(”じきそうしょう”)」と表記していたり、発音しているのを見聞きしますが、これは明らかな誤用表現になので注意をしてください。
ちなみに「尚」の字には”まだ”という字義があります。
ですから、”まだ早い”という意味を思い出して「時期【尚早】(”じきしょうそう”)」と覚えるとよいでしょう。
- 「時期【早尚】」……✖ 誤用表現
- 「時期【尚早】」……〇(まだ(【尚】)早い)
四字熟語ではありませんが、同様に誤用が多い慣用句として「晴天の霹靂」(正しくは「青天の霹靂」)や「先見の目」(正しくは「先見の明」)などがあります。
あなたが大事なシチュエーションで恥をかかないよう、四字熟語や慣用句は正しく覚えてくださいね。
「時期尚早」の具体的な使い方(文例)
「時期尚早」の具体的な使い方(文例)についても見てみましょう。
- 野党は政権の経済政策が失敗したと主張しているが、経済政策の効果を判断するには「時期尚早」ではなかろうか。
- 各国はA国に対する経済制裁の解除を検討しているというが「時期尚早」だろう。
- 現段階において、次期社長候補について語るのは「時期尚早」なことである。
- 今回の経営統合によるシナジー効果を評価するには「時期尚早」であり、あと数年は様子を見てほしい。
このように用いられます。言葉が持つ意味が理解できたでしょうか。
「時期尚早」の同義語・類義語
同義語・類義語についても考えてみましょう。
似た表現としては「まだ早い」や「尚早」といった言葉があります。
- 「まだ早い」
- 「尚早」
いずれにせよ、「時期尚早」という言葉はビジネスシーンでもよく用いられる四字熟語なので、社会人の常識として書き間違えや読み間違えのないように使いこなしたいところです。
繰り返しますが、「時期早尚(じきそうしょう)」ではなく「時期尚早(じきしょうそう)」が正しい表現です。
以上、「時期尚早」の意味と使い方についての説明でした。ビジネスパーソンのみなさんの参考になれば幸いです。
※本記事は2016年8月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。