「固辞」=”周囲から何かをすすめられても固く辞退すること”
「A氏は、社長就任の要請を『固辞』した」「引退を表明しているC選手は、首脳陣の慰留を『固辞』した」......。
このように様々なシチュエーションで見聞きすることが多い「固辞」という言葉。
この言葉には、いったいどのような意味や使い方があるのでしょうか?
「固辞」の読み方と意味とは?
まずは言葉の読み方と意味の確認からしましょう。
「固辞」の読み方は”こじ”。
意味は、それぞれの漢字の意味がわかれば、それほど難しくありません。
「固」の字義は”かたい”。「固」に送り仮名をふると「固い」になりますね。「頑固(がんこ)」の「固」でもあります。
そして「辞」は”理由を述べてことわる”こと。「辞退」の「辞」です。
- 「固」 = ”かたい” ⇒ 「頑固(がんこ)」
- 「辞」 = ”理由を述べてことわる” ⇒ 「辞退」
というわけで”周囲から何かをすすめられても【固】く【辞】退すること”、それが「固辞」の意味となります。
もう少し詳しく言えば、目上の人物や周囲から役職への就任など、”何らかの要請や打診を受けるものの、本人が強い意志をもって断ること”になります。
- ”周囲から何かをすすめられても固く辞退すること”
- ”周囲から何らかの要請や打診を受けるものの、本人が強い意志をもって断ること”
周囲が適任だと思い、役職への就任など要請や打診を一生懸命にするものの、当の本人は「いやいや、自分にはその気がありません」と拒否する姿が「固辞」の基本的なイメージです。
少し意地悪な見方をすれば、優秀な人しか「固辞」をすることができません。
「固辞」の具体的な使い方(文例)
具体的な使い方(文例)も見てみましょう。
- A氏は、社長就任の要請を「固辞」した。
- Bさんは、次期衆議院選挙への出馬を打診されたが「固辞」したそうだ。
- 引退を表明しているC選手は、首脳陣の慰留を「固辞」した。
と、このように用いられます。くれぐれも「固く『固辞』する」としないように注意してください。
周囲が適任だと思い(役職への就任など)要請や打診を一生懸命にするものの、当の本人は「いやいや、自分にはその気がありません」と拒むイメージが頭に浮かぶでしょうか。
同義語・類義語
同義語・類義語についても考えてみましょう。
「固辞」に似た言葉には「辞退」や「拒否」、少し難しい言葉だと「峻拒(読み方:しゅんきょ)」、それから「拝辞(読み方:はいじ)」などといった言葉があります。
「拝辞」とは、「断ること」の謙譲語で「『拝辞』の意志を伝える」のような表現で用いられます。
- 「辞退」
- 「拒否」
- 「峻拒(読み方:しゅんきょ)」
- 「拝辞(読み方:はいじ)」
「固辞」という言葉は様々なシチュエーションで見聞きすることが多い言葉なので、社会人の常識として意味を知っておきたいところです。
いずれにせよ、ビジネスパーソンとしては要請や打診を「固辞」できるほどの優秀な人物になりたいものですね。
以上、「固辞」の意味と使い方についての説明でした。ビジネスパーソンのみなさんの参考になれば幸いです。
※本記事は2016年6月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。