インターネット上やSNS上などでも時々見かける「吝かではない」という表現。少し古めかしい言葉ですが、実はこの「吝かではない」、とんでもないツンデレ表現だったのです。
ここでは「吝かではない」の読み方や意味・使い方を説明します。
「吝かではない」の読み方は"やぶさかではない"
まずは「吝かではない」の読み方から。
ちょっと難しい漢字ですね。
「吝かではない」の読み方は"やぶさかではない"。漢字で書かれた「吝かではない」を見たことがない人でも、"やぶさかではない"なら見たり聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。
インターネット上やSNS上などでは「吝かではない」と書かれているパターンも、"やぶさかではない"と表記されているパターンも両方見かけますが、どちらかというと"やぶさかではない"と、ひらがなで表記されている方が圧倒的に多いようです。
「吝かではない」("やぶさかではない")の意味
「吝」(音読み:"りん")という漢字には、元々"物惜しみをする"や"けち"といった意味があります(ちなみに「吝嗇家 (読み方:"りんしょくか")」には"けち"という意味がありますね)。
- "物惜しみをする"
- "けち"
そして「吝か」("やぶさか")という言葉には、"(物事を)したくない"、"(物事を)するのに気乗りしない"といった意味があります。
- "(物事を)したくない"
- "(物事を)するのに気乗りしない"
「吝か」("やぶさか")に否定語句がついた「吝かではない」("やぶさかではない")は、"(物事を)したくないわけではない""(物事を)するのに気乗りしないわけではない"という意味になるのです。
ずいぶんと回りくどい言い方になっています(このような回りくどい表現方法を『婉曲表現』と言います)が、現代風に言えば「してあげてもよくってよ!」「いや、むしろしたいかも」といったところでしょうか。
顔には熟考している表情を浮かべているものの、意外や意外、心の中はやる気満々。それが「吝かではない」("やぶさかではない")のイメージです。
- "(物事を)したくないわけではない"
- "(物事を)するのに気乗りしないわけではない"
- "(物事を)むしろ進んでする"
- "(物事を)喜んでする"
というわけで、「吝かではない」("やぶさかではない")は、とんでもないツンデレ表現だったりするわけです。
「吝かではない」("やぶさかではない")の使い方(文例)
実際の使い方(文例)も見てみましょう。見やすいように全てひらがなで表記します。
例えば……
・敵が侵入してくるのであれば武器を手にすることもやぶさかではない。
武将でしょうか。なかなか勇ましい発言ですね。"(物事を)むしろ進んでする"わけです。
次はどうでしょう。
・そこまで言うのなら合コンのメンバーに入るのもやぶさかではない。
難しい顔をしていながらも、目がキラキラしている様子が目に浮かびますね。"(物事を)喜んでする"イメージが湧くでしょうか。
さらに……
・君を養うこともやぶさかではない。
プロポーズの言葉です。男尊女卑的とされるかもしれませんが、照れを隠したなかなか素敵な表現です。
このような「吝かではない」("やぶさかではない")という表現、みなさんも一度使ってみてはいかがでしょうか。
以上、「吝かではない」("やぶさかではない")の読み方と意味、使い方についての説明でした。参考になれば幸いです。
※本記事は2016年6月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。
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