「時下ますますご清栄のことと『お慶び』申し上げます」「皆様におかれましては、ますますご健勝のことと『お喜び』申し上げます」……。
このようにビジネスメールをはじめとするビジネス文書で頻繁に用いられる「お【慶】び」と「お【喜】び」という言葉。
この二つの言葉は、どちらも”お(よろこ)び”と読むのですが、いったいどのような意味や使い方の違いがあるのでしょうか?
どうやら『常用漢字表』がポイントのようです。
「お慶び」と「お喜び」の読み方と意味とは?
まずは、それぞれの言葉の読み方と意味の確認からしましょう。
「お慶び」と「お喜び」、いずれも”お(よろこ)び”と読み、”よろこびの気持ちを丁寧に表したもの”という意味になります(詳しくは後述)。
- 「お慶び」=”よろこびの気持ちを丁寧に表したもの”
「慶(よろこ)び」に接頭辞「お」がつき丁寧な表現となったもの - 「お喜び」=”よろこびの気持ちを丁寧に表したもの”
「喜(よろこ)び」に接頭辞「お」がつき丁寧な表現となったもの
つまり「お慶び」と「お喜び」は、基本的には、ほぼ同じ意味を持つ言葉であると考えてよいでしょう。
「お慶び」と「お喜び」の基本パターン
ちなみに、これらの言葉は「お慶び(お喜び)申し上げます」のような表現でよく用いられます。
- 「お慶び(お喜び)申し上げます」
『常用漢字表』では、”よろこ(ぶ)”は「喜ぶ」と書くことになっている
一般的に「お慶び」と「お喜び」は、どちらを用いても全く問題ありません。
ただし、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活における漢字使用の目安を示す『常用漢字表』では、”よろこ(ぶ)”は、「【喜】ぶ」と書くことになっています。
- 「喜ぶ」(「お喜び」)⇒『常用漢字表』に載っている
- 「慶ぶ」(「お慶び」)⇒『常用漢字表』に載っていない
ですから、『常用漢字表』に従って仕事をしている職種の方が”よろこ(ぶ)”、あるいは”お(よろこ)び”と書かなければならない場合、例えば新聞記者が記事を書くケースや公務員が公文書を書くケースにおいては、「【喜】ぶ」あるいは「お【喜】び」と表記しなければならないのです。
もちろん『常用漢字表』に制限されないビジネスメールやビジネス文書、個人的な私信などでは、「お慶び」と「お喜び」、どちらを用いても全く問題ありません。
ビジネスシーンでは「お慶び」が使われることが多い!?
余談ですが、ビジネスシーンでは「お【慶】び」と表記されていることが多い印象を受けます。
これは、「喜」の字が単に”よろこぶ”気持ちを表す一方で、「慶」の字には”めでたいと祝う”気持ちが含まれているからだとされています。
- 「喜」=”よろこぶ”
※「喜怒哀楽」「一喜一憂」「歓喜」 - 「慶」=”めでたいと祝う”
※「慶事」「慶賀」「慶祝」
そう、「お【慶】び」と表記することで、”めでたいと祝う”ニュアンスを示すことができるのです。
「お慶び」と「お喜び」を用いた具体的な文例
具体的な文例も見てみましょう。
- 時下ますますご清栄のことと「お慶び(お喜び)」申し上げます。
- 時下ますますご清祥の段、「お慶び(お喜び)」申し上げます。
- 貴社ますますご盛栄のことと「お慶び(お喜び)」申し上げます。
- 皆様におかれましては、ますますご健勝のことと「お慶び(お喜び)」申し上げます。
このように用いられます。
いずれにせよ、「お慶び」と「お喜び」の言葉はビジネスメールをはじめとするビジネス文書で頻繁に用いられる言葉。
上記の内容をふまえたうえで使用するとよいでしょう。
以上、「お慶び」と「お喜び」の意味と使い方の違いについての説明でした。みなさんの参考になれば幸いです。
- 慶
(Wiktionary) - 喜
(Wiktionary) - 貴社ますますご清栄のこととお喜び と お慶び の用法の違いについて教えてください
(Yahoo! 知恵袋)
※本記事は2017年2月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。
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