「謙遜する」「謙遜して言う」「謙遜した態度」......。

日常生活でも使用する機会が多い「謙遜」という言葉。ここでは「謙遜」という言葉について考えてみたいと思います。

いったいどのような意味や使い方があるのでしょうか?

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「謙遜」の読み方と意味

まずは「謙遜」の読み方と意味の確認から。

「謙遜」の読み方は"けんそん"。『広辞苑』によると、"控えめな態度で振る舞うこと。へりくだること"という意味があります。

謙遜(読み方:けんそん)の意味
  • "控えめな態度で振る舞うこと。へりくだること"(引用:『広辞苑』第五版)

ちなみに「謙」の漢字は、訓読みで"へりくだる"と読みます。「謙虚」や「謙譲」といった熟語からもわかるように、"控え目にして人にゆずる"という意味があります。

一方、「遜」の漢字にも訓読みで"へりくだる"と読みがあり、意味もそのまま"へりくだる"となります。

"思いあがっている様子"という意味を持つ「不遜(読み方:ふそん)」は、すなわち"へりくだる気持ちがないこと"を意味します。



「謙遜」の具体例

「謙遜」の具体例も見てみましょう。

例えば、東大生の太郎君が彼女の家に遊びに行き、彼女の母親から東大生であることを褒められたとしましょう。

まずは「謙遜」しないパターンから。

彼女の母親:「太郎君は東大生なんですって?さぞかしお勉強ができるんでしょうねぇ。」

太郎君:「えぇ、子供の頃から塾に通い、毎日深夜1時過ぎまで勉強をしてきましたからね。そうそう、子供の頃から近所の人からは神童と言われていて困っちゃいますよ。ハハハ。」

彼女の母親:「......。」

これは「謙遜」ではありませんね。

次は太郎君に「謙遜」してもらいましょう。

彼女の母親:「太郎君は東大生なんですって?さぞかしお勉強ができるんでしょうねぇ。」

太郎君:「いえいえ、たまたま塾でよい先生にあたっただけで、決して僕の実力じゃありません。自分ではまぐれで受験に合格したと思っているんです(はにかみ)。」

彼女の母親:「まぁまぁ、ご謙遜なさって(ニッコリ)。」

はにかむ笑顔に和やかな雰囲気。「謙遜」には、そんなシチュエーションが似合います。

「謙遜」と「卑下」の違い

ちなみに「謙遜」に似た言葉に「卑下(読み方:ひげ)」があります。「卑下」は文字通り自分を卑しく下げる意味となり、「謙遜」とはニュアンスが異なります。

もう一度太郎君に登場願い、「卑下」の例を見てみましょう。

彼女の母親:「太郎君は東大生なんですって?さぞかしお勉強ができるんでしょうねぇ。」

太郎君:「兄二人も東大に通っているんですが、僕は彼らに比べると落ちこぼれでして、大学の成績も悪いですし家でも怒られてばかりですし、あぁなんで僕は生きているんだろうと思いながら学校へ通っています......。」

彼女の母親:「......。」

これが「卑下」です。「謙遜」との違い、おわかりいただけたでしょうか?

「謙遜」の使い方(文例)

「謙遜」は、文中で次のように使われます。

「謙遜」の文例
  • 彼の謙遜した話し方は好感が持てた。
  • 彼女は手料理をほめられ謙遜した。
  • 彼は、はにかむような笑顔で「いえいえ」と謙遜した。
  • 彼の発言は決して謙遜ではなく正直な気持ちなのだろう。

「謙遜」に似た言葉(同義語)

「謙遜」に似た言葉には「謙虚」があります。「謙虚」は、"自分の能力や地位などに奢ることなくひかえめな様子"を表す言葉です。

状況に応じて「謙遜」と「謙虚」の言葉を使い分けるとよいでしょう。


以上、「謙遜」の意味と使い方の説明でした。参考になれば幸いです。

※本記事は2016年4月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。


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