「懸念する」「懸念される」「懸念材料」「懸念事項」......。
ニュース記事でよく見る「懸念」という言葉。この「懸念」という言葉には、いったいどのような意味があるのでしょうか?
「懸念」の読み方と意味とは?
まずは「懸念」という言葉の読み方と意味の確認から。
「懸念」の読み方は"けねん"。『広辞苑』によると"気にかかって不安に思うこと。心配"という意味があります。
- 気にかかって不安に思うこと。心配
(引用:『広辞苑』第五版)
「懸念」は仏教用語「繋念(読み方:けねん)」を語源とします。念(=心)をつなぐと書くことからもわかるように、"心を一つの対象に集中すること"や"執念""執着"を意味するとされています。
"不安"や"心配"の意味を持つ「懸念」の使い方
現在、ニュース記事などで使われている「懸念」という言葉は、辞書の意味にあるように"不安"や"心配"の意味で使われています。
実際に具体的な文例を見てみましょう。
- 感染症被害の拡大が懸念される
⇒感染症被害の拡大が心配される - 原子力発電の安全性に懸念を抱く
⇒原子力発電の安全性に不安を抱く - 懸念すべき事案である
⇒心配すべき事案である
いずれの文例においても"不安"や"心配"を用いて言い換えることが可能ですが、「懸念」という言葉を用いることで、文章に硬さを加えることができます。
また「懸念」の類語には"不安"や"心配"以外にも、「危惧」(読み方:きぐ)や「憂慮」(読み方:ゆうりょ)といった言葉があります。
問題点や不安な点を指摘する「懸念」
ビジネスシーンにおいて「懸念」という言葉は、どのように使われているでしょうか?
ビジネスシーンにおいて「懸念」は、問題点や不安な点を指摘する際によく用いられます。
こちらも具体的な文例を見てみましょう。
- エンジニアを大量採用することで、人件費が増大することが懸念される
- 広告費を減らすことで、商品の認知度が下がることが懸念される
- 社員教育をおろそかにすることで、幹部社員が育たない可能性が懸念される
文例を見てわかるように、「懸念(される)」内容はネガティブなものになります。ポジティブであったりプラスになるようなことは「懸念(される)」内容にはなりません。
リベラル系の新聞社は「懸念」が大好き!?
余談ですが、報告書などで自分自身の主観的(かつ悲観的)な意見を述べたい場合、「懸念(される)」という表現を用いることで、読み手に第三者による客観的な意見であるように思わせることもできます。
ちなみに「懸念(される)」という表現手法は、いわゆるリベラル系の新聞社が新聞社自身の見解を記事に反映させたい場合に、よく用いる表現手法であるともされています。
悲観的であることが多いリベラル系の新聞社と「懸念」という言葉は親和性が高いのでしょう。
いずれにせよ、社会人として「懸念」という言葉の意味と使い方を知っておきたいところです。
以上、参考になれば幸いです。
※本記事は2016年4月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。
▶「懸案事項」との意味の違いはあるの?「懸案」の意味と使い方とは?
▶催促をしたい際に大活躍!「検討」の意味と使い方
▶総合的に考え判断する!「勘案」の意味と使い方とは?