手紙やメールなどで、短い挨拶文や礼状といったビジネス文書を送る際に知っておくと便利なのが「まずは書中をもちまして」や「まずは書中をもって」といった表現。ここでは「書中」の意味と使い方を解説します。

文章全体を引き締める!「まずは書中をもちまして(もって)」の意味と使い方

「書中」の読み方と意味は?

「書」の漢字には、訓読みで"ふみ"という読み方があり、"文書"や"手紙"の意味があります。「書中」は"しょちゅう"と読み、"書物や手紙の文章に述べられている事柄"を意味します。

書中(読み方:しょちゅう)の意味
  • 書物や手紙の文章に述べられている事柄(引用:『大辞林』)

「まずは書中をもちまして(もって)」の使い方

そして各種ビジネス文書を作成する際に知っておくと便利なのが、「まずは書中をもちまして(もって)」という定型表現。通常の挨拶文をはじめとする各種ビジネス文書や不特定多数が対象となるプレスリリースなどで活用されます。

「まずは書中をもちまして(もって)」という表現を文章の一番最後(結語の直前)に添えることで、文章全体を引き締める役割を果たします。

「まずは書中をもちまして(もって)」のポイント
  • 各種ビジネス文書やプレスリリースに使える
  • 文章の一番最後に添える

先ほども説明した通り「書」の漢字は"文書"や"手紙"全般を指します。ですから「まずは書中をもちまして(もって)」という表現は、一般的には封書での文書のみならず、はがきやメールでの使用も問題ないとされています。



「まずは書中をもちまして(もって)」の基本パターン

「まずは書中をもちまして(もって)」と相性がよいのが「略儀ながら」という表現。「略儀」には"正式な手続きを一部省略し、簡単なやり方にすること"という意味があります。

つまり「まずは書中をもちまして(もって)」とは、"本来であるならば直接訪問をすべきところですが、書面という簡単な手段で"という意味を持ちます。この表現を基本パターンとして覚えておくと応用が利きます。

また、文章にかたい印象を持たせたいなら「もって」、ソフトな印象を持たせたいなら「もちまして」と使い分けることもできるでしょう。

基本パターン
  • まずは略儀ながら書中をもちまして(もって)

この後に挨拶文なら「ご挨拶申し上げます」、お礼文なら「お礼申し上げます」をつけます。

文例 ①-挨拶文

実際に具体的な文例を見てみましょう。

臨時休業などの一般的なお知らせ、本社・事務所移転や社長・役員人事などを伝える挨拶文では、以下のような表現が用いられます。

挨拶文
  • まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます。
  • まずは略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます。
  • まずは略儀ながら書中をもちましてお知らせいたします。
  • まずは書中をもちましてご通知かたがたご挨拶申し上げます。

文例 ②-お礼文

続いてお礼文。

お礼文
  • まずは略儀ながら書中をもちましてお礼申し上げます。
  • まずは略儀ながら書中をもってお礼申し上げます。

文例 ③-依頼文

依頼文にも使えます。

依頼文
  • まずは略儀ながら書中をもちましてお願い申し上げます。
  • まずは略儀ながら書中をもってお願い申し上げます。

文例 ④-お詫び文

お詫び文では「取り急ぎ」を用いることで、"急いで行動している"という印象を相手に伝えることができます。

お詫び文
  • まずは取り急ぎ書中をもちましてお詫びかたがたご返事まで。
  • まずは取り急ぎ書中をもってお詫びかたがたご返事まで。

中には「まずはとりあえず書中をもちまして(もって)」などと「とりあえず」を用いる文例もありますが、人によっては丁寧さに欠き不遜であると受け取るケースもあるため、使用しないほうが無難でしょう。

「今後とも○○(社名やサービス名)を宜しくお願いいたします」の位置

次の一文は「まずは書中をもちまして(もって)」の前につけるべきでしょうか?それとも後ろにつけるべきでしょうか?


  • 今後とも○○(社名やサービス名)を宜しくお願いいたします。

結論から言うと、前につけても後ろにつけてもどちらでもよいようです。

実際の挨拶文やプレスリリースなどを見ると、前につけるパターンも後ろにつけるパターンどちらも存在しますし、この一文をつけないケースもあります。

ただ全体的なバランスや文章のリズムを考えながら、この一文を「まずは書中をもちまして(もって)」の前、もしくは後ろに挿入している(もしくはつけない)印象を受けます。


以上、「まずは書中をもちまして(もって)」の意味と使い方の解説でした。

※本記事は2016年4月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。


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