「『シナジー効果』を高める」「『シナジー効果』を期待する」......。
ビジネスシーンでよく使われる「シナジー効果」という言葉には、どのような意味があるのでしょうか?
「シナジー」の意味とは?
まずは「シナジー」の意味から確認しましょう。
「シナジー」は英単語 synergy に由来する言葉。synergy は、本来"相乗作用"や"(筋肉などの)共動作用"といった意味を持ちます。
- "相乗作用"
- "(筋肉などの)共動作用"
そしてビジネスシーンで使われる「シナジー」は"相乗作用"、あるいは"相乗効果"の意味で使われることがほとんどです。
買収・提携・新規事業立ち上げで使われる「シナジー効果」という言葉
ビジネスシーンでは、「シナジー効果」という言葉が頻繁に使われます。
特に企業が M&A により買収を行ったり他社と提携をした際や、新規事業・新サービスを立ち上げる際には、「シナジー効果」という言葉を用いて目的の説明が行われることが多いようです。
- 買収により「シナジー効果」を高めて事業の効率化を図る。
- 既存事業との高い「シナジー効果」を期待する。
- 「シナジー効果」の創出を目指す。
また「シナジー効果」は、経営戦略上、既存事業の各部門の"相乗効果"を期待する場合などにも用いられます。
いずれのケースにおいても、"相乗効果"の結果として業績や利益の向上を目指しているという点は忘れてはなりません。
- "各部門の相乗効果の結果として業績や利益の向上を目指すこと"
IT業界と「シナジー効果」
近年、IT業界においては「シナジー効果」を目指した企業買収が盛んに行われており、 Google や Facebook をはじめとする巨大なプラットフォームを持つIT企業が、積極的に企業買収を実施しています。
巨大なプラットフォームを持つIT企業は、彼らが持つ巨大なプラットフォームのスケールメリットを生かすことで"相乗効果"、すなわち「シナジー効果」が創出されることを期待しているのです。
「シナジー効果」の事例 ①-セブン&アイ・ホールディングス
「シナジー効果」の具体的な事例についても考えてみましょう。
例えばセブン&アイ・ホールディングス。グループ内における『セブン銀行』と『セブンイレブン』『イトーヨーカ堂』の関係は、典型的な「シナジー効果」の事例だと言えるでしょう。
『セブン銀行』は、法人向けの融資を柱とする従来の銀行業務と異なり、提携金融機関や利用者からの利用手数料収入を主な収益源としています。
『セブン銀行』が、集客力の高い『セブンイレブン』や『イトーヨーカ堂』の各店舗にATMを設置することは、利用者数を増加させセブン銀行の利用手数料収入を増やすのみならず、本来の銀行窓口業務に必要な人件費や冷暖房費・警備費を抑えることを意味します。
さらに『セブンイレブン』や『イトーヨーカ堂』の各店舗は、『セブン銀行』のATMが設置さることにより客数・売り上げ・収益アップといった「シナジー効果」、つまり"相乗効果"が見込めるでしょう。
「シナジー効果」の事例 ②-阪急東宝グループ創業者・小林一三
もう一つ例を挙げましょう。例えば阪急東宝グループ(現・阪急阪神東宝グループ)の創業者である小林一三(こばやし・いちぞう)。
彼は本業である阪急電鉄の鉄道経営のみならず、"相乗効果"を目指し阪急電鉄を起点とした高級住宅地(六甲山麓)・温泉(『宝塚新温泉』)・百貨店(『阪急百貨店』)・歌劇団(『宝塚歌劇団』)・教育機関(『関西学院』)の沿線誘致、プロ野球球団運営(『阪急ブレーブス』)にも力を入れ、私鉄経営モデルの原型を作り上げた人物として知られています。
彼の作り上げた"相乗効果"に基づく私鉄経営モデルは、立派な「シナジー効果」の一例であるとも言えるでしょう。
いずれにせよ、社会人の常識として「シナジー効果」という言葉を知っておきたいところです。
以上、「「シナジー効果」の意味についての説明でした。
※本記事は2016年5月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。
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